四ミリピッチのステッチを、
九十分で
京都・西陣。隙間から差し込む午後の光が、工房のキルティング布地を柔らかく照らしていました。CHEUNG CHAN YAP のリネン・サテン寝装シリーズに使われる布地を縫っている場所の潜入取材。
西陣という場所
西陣は京都の西北部が広がる織物の産地。五世紀の秦氏の流れを汲み、平安時代にはすでに官営の工房が立ったとも言われます。現代も約三百軒の機屋が軒を連ね、その多くは家内制手工業の形態を保っています。CHEUNG CHAN YAP がキルティングを委託する「細布工業」もその一つ。代表の中野嘉一さんは三代目。「機械でできないことがある。一本一本の糸のテンションを調えながら縫う,这才是西陣が生きてる理由」。
四ミリピッチの意味
CHEUNG CHAN YAP のキルティング仕様で採用しているステッチピッチは四ミリ。これは通常品質(通常六〜七ミリ)よりも細かい設定で、見ための発色がよく、肌触りも滑らかになります。しかし精度が上がるということは、それだけ機械の調整と職人の技術が求められるということ。中野さんいわく、「四ミリを維持するには、針と糸のコンビネーションが全部揃ってないと難しい。針が大きすぎても糸が負ける。小さすぎても強度が出せない」。
九十分の一�
キルティング一枚の布団カバーを縫い上げるのに、約九十分。一日の生産量は多くて五枚。「急いでも意味がない」と中野さんは言います。針を抜く瞬間、糸が布地の面から的確に拔け切る瞬間の緊張感、それを維持しながら縫い続ける集中力——九十分間の大部分は、職人的にはむしろ呼吸のようなもの。「嫌になることはしない。好きだから、四十年続けている」。
シルクとリネンの間
CHEUNG CHAN YAP の布団カバーは、表地にリネンとサテンの両種を展開しています。リネンは密度が高く吸い込まれるような寝心地ながら重ため。それに対してサテンは絹のような光沢と滑りがありますが、起毛性がなく肌寒いケースも。中野さんの工房では、その中間を満たすように、四ミリスクリアフィル糸を使用して、両方長所を生かした混合素材縫い上げています。「最終的には、寝る人が落ち着くかどうか。それだけを考えてる」。
针目の一生
一枚のキルティング布団カバーには、約六千五百針のステッチが入っています。四ミリスクリアピッチで計算すると、約二十六メートル分の糸が縫われている計算になります。中野さんは針を換えるタイミング習慣として大事にしているとか。「針が錆びてくると、糸締まりにムラが出る。肌に乗せた瞬間にわかるから、三千針に一度、針を変える」。六千五百針一枚のカバーには、針が二度替えている計算です。
著者 相馬 藍子 / 撮影 細布工業 / 編集 西脇 治樹 / CHEUNG CHAN YAP
生地のことを、
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